レ・ミゼラブル (日生劇場)



4月24日(月)は、「レ・ミゼラブル」(昼の部)を見に、日生劇場へ。



宇都宮線グリーン車に乗って食事をしながら上野まで。山手線がとまっていて、ホームが混雑していたので、地下鉄で日比谷までのコースに切り替える。おかげで、ガメラパスネットにまた穴が開く。日比谷の券売機にまだ売っていたので、ガメラを一枚買い足す。ガメラパスネットは、あまり人気がないのかしら(子ぎつねヘレンのパスネットは、もっと欲しいと思ったときにはもうなかったのに)。



1時開演。その7、8分前に日生劇場に到着。



座席は2階席の前方の下手側。



開演してまず感じたのは、音が近いこと。「オペラ座の怪人」をこの劇場の2階最前列で見たとき、気持ちがいいくらいに生オケの音がダイレクトに来たことを思い出した。





見に来てよかったと思えるすばらしい舞台で、公演期間も大詰めに来て、上演を重ねて蓄積された上質さを堪能した感じ。でも、最後に(エピローグで)、コゼットとマリウスに看取られて召されるところでは、ジャン・バルジャンの鼻水がちょっと垂れ過ぎだった、かも…。

耳に馴染んだ楽曲に身をゆだねて、いい時間が過ごせた。



この作品は、世の中を変えようという学生たちの蜂起に共感出来なくなると、入り込みにくくなる。ジャベールが、いくらバルジャンに借りをつくったからといって、職務を放棄して自殺するというのも、なんだか情けない。こんな思いが強くなったのは、結局、観客としての私が年をとったということだろう。



それはともかく、掲示されている上演時間が、25分の休憩込みで、3時間15分。だんだん長くなって来た。25分の幕間で3時間15分なら、94年頃までの上演時間と変わらない。03年にニューバージョン(短縮版)がはじまったときよりも、明らかに長くなっていて、シーンやうたの一部をカットした意味があるのだろうか。・・・とはいえ、もうむかしのバージョンの記憶も塗り替えられつつあって、もともとはどんなシーンがあったかと、思い出すのも難儀になって来た。

今回見て、なおも気になったのは、「プリュメ街」で、コゼットが「いつも、満たされてたあなたに愛されて…」をうたわないことぐらいだ。





(97年の改訂から挿入された)水汲みに出されたコゼットが、バルジャンと森で出会うシーンは、何度見てもいい。暗い森の不気味さを醸し出すライティングのなかで対峙した小さな子役とジャン・バルジャン。バルジャンがコゼットに歩み寄って手を取ると、客席から俯瞰している視点もグッとそこに吸い寄せられてクローズアップしたようになるのだ。

「取引」のあと、コゼット連れ出してバルジャンが服を着せる。後ろをとめるときに、リトル・コゼット役の子が髪の毛を持ち上げるのが、かわいいよね。



かわいいといえば、桝井賢斗くんのガブローシュは、とてもかわいい。お目々が大っきくて、動きにスピード感があって小気味いい。走り方を大仰にして特徴的なのに、悪目立ちしないのは、身体のサイズが小さいせいばかりではないみたいだ。この子は、自分のシーンになっても過剰にならないし、演じて、でしゃばったところがないのがなにより。これだけかわいいと、ただでさえ目を惹くから。ひとつ思ったのは、セリフも動きもないところで、表情が活きていないときがある。(まぁ、じっさいの子どもはそんなものなのだけれど) 舞台の上では、表情が抜けたように見えてしまうと、もったいない。



ガブローシュを肩ぐるまする原シンバ ブリジョン、じゃなくって「学生」も一幕のポイント。





近年は、ごくまれにしか見ないのに、いざ観劇となると十年一日というのか、このシーンではこの役の俳優を見るというくせがついていて、そのパターンから抜け出せない。たとえば、リトル・コゼットよりも、リトル・エポニーヌが抱いている人形に何か食べさせるのが、重要。あの人形は、簡単な顔をしている(笑)。



リトル・コゼット/エポニーヌの「夏・夏」コンビは、コゼットの福田夏未さんも、エポニーヌの藤井結夏さんも、ちゃんと演技が入っていて、とてもよかった。



石井バルジャンは、教会で銀の食器を盗むとき、パンは置いて行った。むかしは、パンもいっしょにかばんに入れるバルジャンと、パンは置いて行くバルジャンとがいたが・・・最近は、どうなのだろう?





カーテンコールでは、このステージで楽を迎えた出演者(石井一孝鈴木綜馬藤岡正明、井料瑠美、田中利花、坂本真綾岸祐二佐藤正宏=司会兼、上條コウ、桝井賢斗)の紹介と、このうちのアンサンブルと子役以外の出演者から、あいさつがあった。

あいさつの内容等は、公式サイト内に出ているので、そちら参照。





繰り返されたカーテンコールが全て終わったのが、ちょうど4時半だった。





帰りは、寄り道して本など買っていたら、だんだん雲行きが怪しくなり、大雨に降られて、さんざん。100円ショップで105円出してかさを買ったが、小さいものだから、ずぶ濡れ。





おまけ。

この日のお買い物・・・

CD「ベストミュージカル2」(ビクターエンタテインメント、3000円税込み)。

こなみかなたチーズスイートホーム」3(講談社モーニングKCDX、848円税別)、岡部敬史「ブログ進化論」(講談社+α新書、800円税別)、米澤穂信夏期限定トロピカルパフェ事件」(創元推理文庫、571円税別)。