六世中村歌右衛門五年祭 四月大歌舞伎 昼の部



17日(月)に、歌舞伎座で、



六代目中村松江襲名披露 五代目中村玉太郎初舞台

六世中村歌右衛門五年祭 四月大歌舞伎、昼の部を観劇。



1階二等席から。

この日は、11時開演で、3時46分頃の終演。



まずは、舞台写真を物色。

山口千春ちゃんたち、「狐と笛吹き」の子役が写っている写真は、なし。

部屋子披露の中村梅丸くんが、5点(「孤城落月」が2カット。「関八州繋馬」の里の子が3カット、うちひとつは玉太郎くんといっしょの)。新・中村玉太郎くんは、多数。



少し迷って。…記念なので「関八州繋馬」の里の子竹吉(梅丸)と梅松(玉太郎)のと、中村梅玉丈がともね狐(のぬいぐるみ)を抱っこしている写真をひとつ、買ってみた。



さて、4月の昼の部は、

北條秀司作・演出「狐と笛吹き」、歌舞伎舞踊「高尾」、「沓手鳥孤城落月」、「関八州繋馬」。



「狐と笛吹き」は、心に沁みる話だが、幕を下ろしての4度の転換に時間がかかることもあって、いささか冗長に感じる。



子役の5人(山口千春、下田澪夏、中さとみ、新島成孝、坂本昂哉)は、近隣の童役で、カタツムリのうたや狐のうたをうたったり、ともね(福助)と絡んだりする。童たちが遊ぶのは、舞台の上手側。

見どころは、山口千春嬢が、ともねの着物をもらって、「お姫様」になるところ。



妻を亡くして悲しみに暮れる笛吹きの春方(梅玉)の前に、助けられた報恩にと、母子ぎつねの子狐が、親狐のいいつけとて、彼の亡妻にそっくりな姿に化けて現れる。春方は、その、ともねをきつねと知った上で、後添えに迎える。ある夜、笛師の人選に洩れ大酔した春方が、ひととけものの境を超えてともねと契ると、掟に背いたともねは、きつねの姿に戻って息絶えてしまう。春方はそのなきがらを抱き、自らも死を決意して、ともねのふるさとである近江の国へと向かう。

動物が人間に姿を変え、恩を受けたひとのもとへやって来て共に暮らすが、約束(おきて)を破ったことでそれが破綻するという、動物による報恩譚の常套を踏まえたストーリーだ。



 きつねよ、きつね。寒かろう、ひもじかろう。え(餌)をやるぞ…



童たちのうたが、ともねの苦しみと運命を見透かすようで、もの悲しく響く。



ところで、この春は、キツネちゃんが流行りなのかな。

映画は「子ぎつねヘレン」だし、三越劇場(「清水の次郎長外伝〜恋女房お蝶の奮闘記〜」)でもキツネが踊っていたし。



・・・うちにも、かわいく化けたキツネがやって来ないものか、と思う。って、そのためには、まずは、捕まっているキツネを助けて恩を売らなきゃダメか。だとして、捕まってしまったキツネとは、いずこにおるや。キツネを助けて恩を売る旅に出る必要があるぞ。まちがえて、カメを助けて、龍宮城に連行されたり、助けたカメがガメラにでもなると大変なので、もし旅に出るときは肝に銘じておかねばならぬ。きび団子ではなく、油揚げを用意するのがよさそうだ。





舞踊の「高尾」を挟んで、



坪内逍遥作の「沓手鳥孤城落月」

二の丸乱戦が、めまぐるしくて面白い。

子役が演じている裸武者石川銀八(中村国生)、小姓神矢新吾(梅丸)に立ち回りで見せ場があるが、とくに前者は、長柄をこなして、なかなか魅せる。裸武者というのは、いかにも歌舞伎的演出で、本来なら、戦の真っ最中にあんな格好をしていたら、それだけで不覚悟というものだろう。

国生くんはおなじみだが、梅丸くんも子役にしてはしっかりした体格をしている。



関八州繋馬」

は、第二場の葛城山麓の場が、五代目玉太郎初舞台の劇中口上。花道から里の者たち(中村吉右衛門中村東蔵、玉太郎)が登場し、本舞台で里の男(梅玉)と行き会うと、口上。そして、踊りが少々。下手から里の子(梅丸)が現れ、蜘蛛やら蝦蟇のうわさのやりとりあって、話を次の場へつなげると、上手へ立ち去るといった按配。



源頼信(尾上菊五郎)と頼平(松江)は、頼光の弟だそうだが、将門の息子(片岡仁左衛門)と蜘蛛の化生(中村魁春)を鎮めるのに、兄頼光の家来である四天王(中村歌昇中村信二郎尾上松緑河原崎権十郎)の助力が必要とは、これは、いかなことか。自前の家来はおらんのだろうか?

豪華配役で、最後は揃って極まる。幕。