映画「かかしの旅」



先日、草月ホールで(3日間上映されていた)、映画「かかしの旅」を見た。



足が少し不自由で、学校では緘黙してしまう中学生の少年(かかし)が、ある日、学校に背を向け、家出をする。街で出会った仲間たちと共同生活をしながら、彼は、ノートに手紙を書きはじめる。学校での出来事や、自殺したクラスメイトのこと、母親への想い、幼い頃のことなどをつづって行く。その言葉がナレーションにもなり、様々な回想シーンが挿入される。



冨永憲治監督もパンフレットのなかで少し触れているが・・・私のような旧世代の人間には、「いじめ」という現象と日々隣り合わせに学校生活を送ることを容認してしまう(せざるを得ない)感覚には、どうにも違和感がある。

この映画でいじめられるふたりの少年は、いじめられることに抗することもなく、ただじっと身を硬くし、ひとりは自殺し、ひとりは旅に出るのである。そういえば、「問題のない私たち」という映画でも、主人公のリーダー格の女子中学生が、いじめられる側に立たされた途端に抵抗出来なくなってしまう、というシーンが印象的だった。



手紙を書くことで少年の内省が深まり、自分を守る勇気の必要に気づくことと、そのノート(につづられた少年の言葉)が、教師と母親のもとに届く終わり方に、救いがある。



家出した主人公に声をかけ、共同生活をする少年、少女たち4人が、悪ずれしていないのが、いい。



尾高杏奈ちゃんのセーラー服姿は、冬服もあり。





上映時間は、1時間33分。



パンフレット、300円。他に、ポスターを販売していた。