「シリウスの道」 他



最近読んだ本から、ハードカバーの小説7冊。面白かった順に、ちょこっとレビュー。





藤原伊織シリウスの道」文藝春秋

ミステリー仕立てなところもあるが、広告代理店を舞台にしたサラリーマン小説(ハードボイルドふう)。舞台は著者の手の内だから、広告代理店の仕事とはこういうことをしているのかという「情報」だけでも、読み応えたっぷり。



澤田ふじ子「無頼の絵師」幻冬舎

公事宿事件書留帳シリーズの11冊目。お清ちゃんは、だんだん大きくなる。この頃、私は、北原亞以子氏の「慶次郎縁側日記」シリーズより、こっちのほうが好きになって来た。



久坂部羊「破裂」幻冬舎

長寿はひとを苦しめる…という視点、切り口は毒があるが面白い。医事裁判の件りでの、レントゲンの鑑定の部分は興味深かった。 安楽死、というより死ぬ権利は、認められていいと私は思う。



伊岡瞬「いつか、虹の向こうへ」角川書店

第25回横溝正史ミステリ大賞テレビ東京賞受賞作。石田純一主演でドラマ化の予定。ハードボイルドとして面白く読める(が、犯人は消去法で考えると分かってしまう)。いや、それよりも何よりも、『虹売り』の挿話がとてもすばらしい。



加納朋子てるてるあした幻冬舎

この著者が書く女の子は、いつもいい感じ。相性がいいので、迷わずに買える。



沼田まほかる「九月が永遠に続けば」新潮社

第5回ホラーサスペンス大賞、大賞受賞作。刊行されてすぐから、書評でずい分評判をとっていた。面白い、のだけれど、主人公の女性にはイライラさせられるし、その息子の行動は、(私には)理解不能



城野隆「一枚摺屋」文藝春秋

第12回松本清張賞受賞作。「文藝春秋」7月号に掲載の選評を見て、読んでみようと思った。著者はすでに作家としてキャリアのあるひとで、地味な素材を、すらすらと読ませる。確かに上手いのだろうと思うが、淡々と進行してあまり面白くない。