アマゾン・ドット・コムの光と影



横田増生潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影 躍進するIT企業 階層化する労働現場」(情報センター出版局、1600円税別)

を、面白く読んだ。

ちなみに、購入したのは、「リアル書店」の雄、紀伊國屋書店の店頭だった。



躍進するネット書店アマゾンは、秘密主義でほとんど取材に応じないことでも知られているそうで、著者は、その中核と目される物流センターに、時給900円(のち 850円)のアルバイトとして採用され「潜入」、約半年間働き、物流の現場体験から同社急成長の理由に迫った。



著者が体験したアルバイトの労働現場については興味深く読んだ。現場での実感を格差社会の到来と結びつけた言説に説得力がある。



ただ、ネット書店への「潜入」という意味でのインパクトは必ずしも大きくない。あくまでも日通が請け負っている物流現場の内幕もの、ということでの面白さだ。

ネット書店としての躍進の理由は、物流の側面よりも、やはり、ネットの側にこそ多くありそうな気がする…。





私も、けっこう アマゾンでは、買い物をしていて、何がいいのかといえば・・・刊行されてしばらく経った本などは、(一部売れ筋のものを除けば)書店の店頭にはもうないか、あっても立ち読みや棚ずれで汚れていたりすることが多いが、そんな本もアマゾンに在庫があれば、きれいな本が送られて来ること。

そんな読者としては、同書内で触れられているブックオフとの取り引き疑惑の件りは、もう少し突っ込んで事実関係にまで踏み込んで欲しかったと思う。