ミュージカル 南十字星 千秋楽(鈴木優美ちゃんて、かわいい!)


10日に、四季劇場[秋]で、ミュージカル「南十字星」を観劇。

千穐楽で、午後1時開演。


四季劇場では、[春]側の駐車場だったあたりに何やら建設中で、さて何だろうと看板を見たら、JR東日本アートセンター稽古場 だって。とうとう劇場前に、稽古場まで造るのか。

あざみ野まで行き来するロスを省いてみっちり稽古が出来ますように、ということだろうか…(12月26日に「ライオンキング」を見に行った際は、まだ工事していなかったと思うから、年明けてからはじまったのかな)。


開演前は、[秋]のロビーで、(四季の会会員特典の)インセンスグッズ(お香)をもらった。箱のまま、部屋にあるだけで、かなり匂う。ので、各種香りに弱いひとは、ダメかもね…(私がもらったのは、ストロベリー フレッシュで甘いいちごの香り、なのだが、なんか、おばあちゃんの部屋っぽいにおいである(笑))。
出演者からのメッセージは、島村中将(田代隆秀)・原田大尉(鈴木周)・塚本少尉(前田貞一郎)の3氏。


結局、約4か月の上演中、「南十字星」は、初日と千秋楽の2ステージのみの観劇になった。

旧日本軍の出て来る話は好きではないから、心に半分鍵をかける気持ちで見ていたが、それでもときどき(たとえば、原田大尉の言動など)感情が激しく波立つのを避けられない。

この舞台、たとえば、反日感情を持つひとが見るとその感情を、東南アジアへの差別意識があるひとが見るとその意識を、連合国嫌いのひとが見るとその気持ちを等々、かきたてられるようなところがあるのではないだろうか。

インドネシア独立運動の急進派といえる役(ニルワン)を藤川和彦さんが演じていて、いわゆる開口口調全開のセリフ回しなのだが、そのうんざりするほどはっきりしたしゃべりが、融通の利かない「あく」の強さに感じられ、暗殺されるに充分な存在感があった(四季独特のセリフ術の、意外な効果を見た思いだった。ただし、この千秋楽のニルワンは、少し声がかすれていたが)。

舞台の終盤、主人公の保科勲(阿久津陽一郎)が死を受け容れるあたり、客席ではすすり泣きどころか嗚咽しているひとまでいた。類型的だが、それゆえに分かりやすく印象的な登場人物のなか、中立的な視点を持ち感情の吐露が希薄な主人公は、戦犯として散ったひとたちの良心の集合体のようにしか見えず、感情移入はし辛いのだが。
私はむしろ、島村中将の言動に、観客としての気持ちを沿わせたい、と思った。

カーテンコールでは、阿久津陽一郎さんから、千秋楽と義援金について、あいさつなどがあった。
千秋楽の売り上げをスマトラ沖地震義援金として寄付することについては、その金額を 706万円といっていた(その後、四季公式サイトによればこの金額は、千秋楽公演の売り上げに募金などを合わせた総額とのこと)。


千秋楽の生徒たち(=子どもたち)は、

アミナ: 神原麻由 ティエン: 鈴木優美 ミンチェ: 高野朱華

それぞれ髪形をちがえていて、神原さんが ふたっつしばり、鈴木さんが 後ろでひとつしばり、高野さんは 左右に細っこく三つ編み。

「新しき学び舎」のところ。
3人並んでうたうシーンの並び方は、向かって左から、ティエン・アミナ・ミンチェ。そのあとの、(ティエンは奥に残ったままで)ふたりが前に出てうたうときが、向かって左から、ミンチェ・アミナ、という並び。

ティエンちゃんは、その学び舎で地図を見て、勢いよく手を上げると、インドネシアがピンク色になっているのはなぜかと質問する。で、アミナと、ミンチェが、インドネシアは日本の一部になったのだ、そうじゃない、とちょっとだけいい合いをする。

そのティエンちゃんこと、舞台で見る鈴木優美ちゃんは、それはそれは、かわいくてかわいくてかわいくて、とってもかわいかった。

カーテンコールに登場のときは、生徒3人は、マイクをはずしていた。鈴木優美ちゃんは、舞台下手の奥のほうにいて、終始にこにこ笑っていて、かわいかった。おでこも、かわいかった。

2階席からの観劇だったので、立っている優美ちゃんの頭のてっぺんから足の先までちゃんと見えて、よかった。
客席に向かって両手で手を振る優美ちゃんも、またまた かわいいのであった。



南十字星」2005年1月10日(月・祝) 13時開演 出演者

保科勲:阿久津陽一郎/リナ・ニングラット:樋口麻美
島村中将:田代隆秀/原田大尉:鈴木周(劇団俳優座)/塚本少尉:前田貞一郎
ニングラット博士:武見龍磨/ルアット・ニングラット:内田圭/ニルワン:藤川和彦
キキ:丸山知紗/オットー・ウィンクラー:吉賀陶馬ワイス/原田春子:中野今日子(劇団俳優座)
岡野教授:光枝明彦

インドネシアの人々、日本兵、オランダ兵、オランダ人捕虜 他:
菊池正/谷本充弘/田井啓/浜名正義/遠藤敏彦/
小川善太郎/中村匠/横山清崇/小島良太/片山崇志/近石博昭/渡邊今人/石路/朱涛

インドネシアの人々、オランダ人捕虜 他:
西島美子/小松陽子/種市万里子/佐藤匡子/荒木美保/
鷹栖千香/松本昌子/石川愛/池田さやか/赤沼由桂/大前さおり/団こと葉/菅原こずゑ

アミナ:神原麻由/ティエン:鈴木優美/ミンチェ:高野朱華




最後に、これは余談になるが、歌舞伎俳優の中村雀右衛門丈は、戦時中、出征し南方へ赴き、スマトラ終戦を迎えたという。

終戦のあと、現地の独立運動義勇兵として参加するために部隊を出る人、現地で知り合った女性と一緒になった人もいました。」
と、近刊の「私事」(岩波書店)のなかで語っている。

つまりは、「南十字星」の原田大尉のような行動をとったひとをじっさいに目の当たりにしたのだ。
観劇後に読んだため、雀右衛門丈の戦争体験の部分に、「南十字星」のシーンが重なった。


  (このテキストは、1月12日に書いたものです)