2004年、読書回想。
今年ももうすぐ終わりなので、
2004年の読書回想を。 順不同
年頭から、12月の半ばまでに、購入した書籍(写真集やムック本、劇画は除く)は、151冊。
まず、新刊(単行本)で、面白かったものを5冊厳選すると・・・
酒見賢一「泣き虫弱虫諸葛孔明」文藝春秋 三国志もまだこんな切り口、語り口があるのだ、と感嘆。なかでも、孔明が醜女の黄氏を娶るくだりの面白さが圧巻だ。早く続きが読みたい。来年は、かの「陋巷に在り」(新潮文庫)にも手を出そうか。
篠田節子「砂漠の船」双葉社 ムラ社会的生活を是とし、守ろうとする主人公。最後に、そこからはなれて行く妻と娘の生き方が、いい。
米村圭伍「おんみつ蜜姫」新潮社 忍び猫が かわいい、欲しい。米村圭伍の時代小説は軽快で後味がいい。登場人物やエピソードが他作品と相互に関連し合っているのも楽しい。
大沢在昌「パンドラ・アイランド」徳間書店 実在の島かと思ってしまいそう。応募したTシャツが当たった。
町田康「猫にかまけて」講談社 出色の猫本だ。このひとの文章とは相性がいい。もっと、小説を読んでもいいかな、と思う(他には芥川賞受賞作しか読んだことがなかった)。
他に、対談形式の文芸批評、大森望・豊崎由美「文学賞メッタ斬り!」PARCO出版 岡野宏文・岡崎由美「百年の誤読」ぴあ の2冊は、読み応えがあった。
演劇関係では、関容子「女優であること」文藝春秋 たとえば、三田和代さんの章は、(歴代自民党首相のブレーンという部分が強調されている)浅利慶太「時の光の中で」(文藝春秋)よりも、ずっと 四季関連のエピソードが魅力的だ。
中村勘九郎「勘九郎日記「か」の字」集英社 も、「女優であること」の波乃久里子さんの章と合わせ読むと、より面白い。
文庫では、宇江佐真理「甘露梅 お針子おとせ吉原春秋」光文社文庫 が、今年 お気に入りの一著。吉原を舞台にした連作時代小説で、捕り物帳的側面も。禿ちゃんが かんの虫をおこしたりする。
旧作では、宮尾登美子「鬼龍院花子の生涯」中公文庫 が印象的。夏目雅子さんが啖呵を切る、あの映画のワンシーンで有名だが、スポットCMでしか見たことがなかった私は、夏目雅子さんが鬼龍院花子なのかと思っていた。が、そうではなく、鬼龍院花子の血のつながらない姉にあたる女性を主人公にした作品だったのだね。
・・・とこんな感じ。年内にもう2冊ぐらい何か買うと、今年も暮れることでしょう。