吉例顔見世大歌舞伎 夜の部
歌舞伎座の昼の部は、初代片岡千之助くん初舞台が呼び物。
テレビのワイドショーの取材では、ウルトラマンネタで笑いを誘っていたが、舞台でもスペシウム光線を披露するとか。(テレビや写真で見るところ、祖父より甘く、父よりも整った顔立ちではあるまいか)
とくに昼の部は、松嶋屋勢揃いの 11月歌舞伎座。あるいは、先月は国立劇場「伊賀越道中双六」に出ていた主だった役者さんたちが、今月は、歌舞伎座に移動して来たといった印象も。
11/3(祝)に、当日券を購入して、歌舞伎座で夜の部を観劇。
以下、敬称を略すことあり
筋書き、1200円。
なお、吉例顔見世大歌舞伎、昼の部の子役世代の出演者は、初舞台の御曹司の他に
「芦屋道満大内鑑 葛の葉」の安倍童子に 松岡瑠奈。
さて、夜の部は、4時半開演。
昼の部の終演が遅く、4時10分頃からの入場といわれた。
「鬼一法眼三略巻 菊畑」
三略は、六韜とともに著名な中国の兵法書で、それを兵法の虎の巻に見立てている。鞍馬伝説と並ぶ、牛若丸兵法修行譚にもとづくもの。
菊の花が並ぶ舞台に、顔合わせも豪華で、華やかな一幕。
なかでも、芝翫丈の牛若丸(虎蔵)が、前髪姿も違和感を感じさせず、若々しく颯爽然とした趣。
子役は、女小姓に 小川夏樹、石坂なつみ。
鬼一法眼(中村冨十郎)に従って、花道からの登場。
みどり色が小川夏樹小姓で、オレンジが石坂なつみ小姓。
小川夏樹ちゃんは姿勢よくしっかりした様子(かしこまりました、とセリフがひとつ)。石坂さんのほうは、ちょっと大変そうで、舞台上手で控えている姿もしんどそうだし、立ち上がるときも周りを窺いながらで自信なげ。
小川夏樹ちゃんは、1月に国立劇場で見たときと較べると、だいぶ大きくなっていると思う。
「廓文章 吉田屋」
店先での伊左衛門と若い者とのやり取りが面白く、鴈治郎丈に寿治郎さんということから、先月の「伊賀越道中双六」の沼津 を思い出した。
子役は、夕霧(中村雀右衛門)の禿たよりに 平中優乃。
おいらんのたばこ盆とキセルを運んで来ると、ちょっと身体を傾げて伊左衛門の様子を窺って、出て行くという役で、あっという間だが、かわいい見せ場。
10月下旬に出版された本、関容子「女優であること」(文藝春秋)のなかに、ちょうど 波乃久里子さんが子役時代に「吉田屋」の禿をしたときの写真が収載されている。
(「吉田屋」の禿は、小さい子が演る役のようだ)
「天衣紛上野初花 河内山」
こういう芝居だと、私は、(主役の河内山よりも) 殿様に諌言する役どころの信二郎丈や左團次丈がいいな、と思う。
子役は、幕の冒頭、質屋で番頭をからかっている丁稚長松に 大沢翔己。
番頭とやりあうので、けっこうセリフがあるのだが、幕が開いてすぐだし、よく聴き取れなかった。
手もとにある「筋書き」では、ページ上段の配役のところ、大沢翔己くんの役が「丁雅 長松」と誤植になっている。
松江出雲守(中村梅玉)の小姓に 石川竜樹。
刀を持って控えている役。 先月も、石川竜樹くんは、国立劇場で、別のお殿様に小姓として仕えていた
9時5分頃の終演。