助六由縁江戸桜 (御園座)
御園座で、十一代目市川海老蔵襲名披露 吉例顔見世、9月25日(土)の夜の部を観劇。
以下、敬称は基本的に略しています
御園座の前に某ミュージカルを見ていたので、時間の兼ね合いと体力的なことも考えて、襲名披露「口上」から見た。
客席は、補助席までぎっしりの盛況。
「口上」
信二郎、男女蔵の口上が聞けたのはよかったが、全般に、せわしない印象。
「口上」というより俳優の挨拶を聞いているうちに終わりました、という感じ。
私の記憶が確かならば・・・
海老さまの口上、歌舞伎座では (海老蔵を)「十一代目として相続する」といっていたが、今回は「相続」でなく「襲名」といっていた。
「にらみ」の後見が右之助で、(男寅ちゃんがつとめたときのような、子どもがすることによって生じる自然な間、のようなものがなく)こちらも淡々と進行。
「助六由縁江戸桜」
どうしても6月歌舞伎座の「助六」と較べて見てしまうのだが。
揚巻(菊之助)は美しいが味が薄く、白玉(亀治郎)は華やかさや存在感に欠け、どちらも物足りず。
6月の歌舞伎座の舞台で、玉三郎の揚巻がまとっていた濃密な空気やセリフが持つ実感、福助の白玉のこぼれるような過剰さから来る華。それらが思い出された。
揚巻、白玉の二優だけでなく、歌舞伎座で5人いた並び傾城や男伊達が4人だったり、揚巻の道中では花道がスカスカに見えてしまうなど、舞台の「隙間」も気になった。
筋書きで「助六」の出演者を数えてみると、六月大歌舞伎は 96人、この御園座は 87人。
(傾城誰ケ袖、男伊達石浜琴七、白玉付詰袖が2人、三浦屋新造が2人、三浦屋若い者が1人、廓の若い者が2人 の計9役が、歌舞伎座に較べて少ないことになる)
やっと面白くなったのは、松緑の白酒売(実は曽我十郎)が登場してから。
この松緑がすばらしく、ぐっと舞台に引き込まれて、最後まで。
通人(松助)のネタは、6月と同じで、"ヨン様" の股くぐりから おーいお茶。
いまブームらしいが、全く関心のない私には、ヨン様ネタの面白さはよく分からない。花道へ行ってからは、ドラゴンズにマジック点灯との名古屋にちなんだタイムリーな話題も。
揚巻付の禿の子役について。
花道で「袖の梅」を持った たより(伊藤圭基)が「大きな奴さん」とからかわれるセリフをいうのは六月大歌舞伎と同様。
終盤、意休(段四郎)が出て来て、助六が揚巻のうちかけに隠れたところで、
「いえいえ、わたしたちではござんせぬー」とかいうセリフは、しげり(森田有美)が受け持っていた。
歌舞伎座の「助六」では、これも たより(6月は橋本勝也)のセリフだった
ここの たよりとしげりの並び方は、セリフを受け持つ禿が意休に近い側に座るようだ。