若宮優子プロデュース公演 「激動」
アトリエフォンテーヌで上演された、若宮優子プロデュース公演「激動」
7/28(水)〜8/4(水)まで 8日間15公演のうち、結局、4回観劇した。
(次はいつ 小野瀬舞ちゃんを見られるか分からないし…)
休憩なしで、正味の上演時間が1時間35分。
脚本・朱宮理恵 演出・平井雅士
小劇場での公演とはいっても、オーソドックスな演出の、正攻法なお芝居。
日本人の大陸進出や引き揚げの問題、中国の土地改革、文化大革命など日中の近現代史を背景にして、歴史の犠牲者というべき家族の離散と邂逅を描いたドラマは、骨太でスケールがある。
地主階級が追われ兄弟が離ればなれになってから、舞台が上海に移るまでの四半世紀が、登場人物のモノローグなのはいいが、
上海に場所を移しての後半部分が、ギャングものの劇画みたいな展開になるのは、いささか唐突に思える。その前に、伏線になるような、具体的なエピソードが何かあってもよさそう。
実質的な主役を演じた若宮優子さんの、押し付けがましくない存在感が、新鮮だった。
(後半での老け方は中途半端に見えたが、どうだろうか)
小野瀬舞ちゃんは、主人公の女性の孫娘役で出番が多く、中国人少女の髪形、衣裳が似合っていて かわいい。
口跡がよくセリフが明瞭。集中力の強さを感じさせ、子どもらしい演技も上手い。
カーテンコールでの表情は、役を演じていたときよりも大人びていて、子役の段階からステップアップしていることをうかがわせた。
客席スペースは、80人入るかどうかという設営。
私が観劇した4回の客入りは、満席が1、40人前後が2、30人弱が1ステージ、といったところ。
椅子の座り心地が悪く、決して長い上演時間ではないのに、けっこう疲れた(小劇場での観劇に慣れていないせいもあろうが)。
この「激動」という作品、舞台よりも、あるいは映像向きなのかも知れない。
映像でなら、戦争や革命など歴史の持つスケール感が出しやすいし、上海が舞台になる後半部分の、細菌兵器密輸団という設定もリアルに見せられるのではないか、と思った。