1万人のゴールド・シアター2016「金色交響曲〜わたしのゆめ、きみのゆめ〜」


12月7日(水)は、さいたまスーパーアリーナで、

1万人のゴールド・シアター2016
「金色交響曲〜わたしのゆめ、きみのゆめ〜」
 based on Romeo & Juliet
  「ロミオとジュリエット」(W.シェイクスピア作、松岡和子訳)より

企画・原案:蜷川幸雄
脚本・演出:ノゾエ征爾

を見た。

15時開演。

 過去ログのこの公演である。→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20160929/p5

公演プログラム、1500円。


この日は、浅利慶太プロデュース公演に行こうか、これにしようか、と迷っていたが、某所にポイントでご招待が出たので、これに決めた次第。席が通路側だったのは、幸甚。

さいたまスーパーアリーナには、はじめて入った。席位置は、400レベル。

アリーナ部分をステージとして使って、その四角いアリーナを長辺の両側から挟むかたちで、スタンド席にお客さんを入れていた。スタンド席の前方は、出演者の控え席になっていた。

アリーナの上空部にスクリーンがあり、セリフをいう演技者や、シーンのクローズアップが、適宜、そこに映し出される。


60歳以上の一般出演者は、約1600人と発表されていて、最高齢は91歳の女性(※91歳の男性もいたようです)。翌日(8日付)の新聞記事によると、観客は、約8000人だったとのことである。

演劇としては、出演者も観客も人数が多過ぎて、会場にいたとはいえ、どちらも、具体的な数字としての実感はわきづらい。

1万人のゴールド・シアターといいながら、じっさいには1万人にはほど遠い人数しか集まらなかったなどともいわれていたが、1600人が出演して、観客が8000人なら、それにスタッフ・関係者を合わせての、トータルでなら1万人になりそうだ、と思った。

予想していた以上に、ショーとしておもしろく見られたし、よくも、こんな大人数を動かし、ロミオとジュリエットに演出し、創り上げたものだと、見ていて感心してしまった。

こまどり姉妹のどちらかがいったのだったか、ここにいる誰もが、あと数年か数十年でいなくなるんです、という言葉は、いい方は冗談交じりでも、なかなか重い言葉だった。いまこの場が、まさに一期一会なのだと思わせた。


一般出演者の男性はみんなロミオで、女性はみんなジュリエット。
そこに、さいたまネクスト・シアターからのロミオが3人(ロミオ1:銀ゲンタ、ロミオ2:内田健司、ロミオ3:高橋英希)、ジュリエットが2人(ジュリエット1:周本絵梨香、ジュリエット2:佐藤蛍)加わっていた。

開演前に、配役を見て、高橋英希くんがロミオのひとりだ!と期待がふくらんだが、ロミオ1、ロミオ3、ジュリエット1、ジュリエット2は、一般出演者の選抜メンバーに交じって、割られたセリフをいうだけ。
見せ場らしい見せ場があったのは、ロミオ2。マキューシオ(續木淳平)が殺され、ロミオ(内田健司)がティボルト(新川將人)と戦い、ティボルトが死ぬという場面を演じて(ベンヴォーリオは堀文明)、立ち回りもあり・・・脱がなくても、いい役が付いていた。

高橋英希くんは、髪をオールバックにひっつめて、後ろでちょんまげにしていた。


コメディリリーフは、ジュリエットの乳母(岡田正)。乳母というだけで名前がないといって、マリアを名乗り、「ドレミの歌」をうたう。周りはジュリエットだらけのなかに、乳母はひとりだけ(しかも男優が演じている)、という対照も可笑しい。
ほかに、コメディリリーフとしては、本人の名をもじった役名で登場のテウーチョ(手打隆盛)。

パリス(白川大)は、屋体に乗って、アリーナを半周した。

ロミオ4(木場勝己)は、終盤での朗読。僧ロレンス(原康義)の台詞は、舞台を引き締めた。


劇中歌の選曲が、秀逸で、印象深かった。とくに「花の街」は、この舞台に参加している出演者たちの生きて来た時代をも想起させたし、「生きるものの歌」の歌詞は、この舞台にぴったりで、深みのあるメロディーは、この舞台の大勢の出演者ひとりひとりに、かけがえのない人生があり、そして別れもあるのだと、しみじみ感じさせられた。


さいたまネクスト・シアターのメンバーは、出演者としての出番は少しで、それ以上の多くの時間で、ステージ進行を補助するスタッフ的な役割を担っていた。そもそもこの舞台の大枠の設定が、巨大な高齢者施設ということなので、さいたまネクスト・シアターのメンバーなどの若手キャストは、その施設のスタッフという位置付けでもある。


さいたまネクスト・シアターは、さいたまゴールド・シアターとの共演もすっかりお馴染みになり、今回のこの公演といい、すっかり老人介助劇団みたいな趣きだなぁ・・・。それはそれとして、今度は、ネクスト・シアターだけの単独公演をやって欲しいところ。


終演は、16時53分だった。もっと長かったように感じたが、2時間かかっていなかった。

アリーナ(ステージ)では、引き続き、解散式を行なうとのことだったので、ちょっと見ていたかったのだけれど、観客はどんどん席を立つ様子だったので、通路側の席の私が座っていたらじゃまだと思い、すみやかに帰ることにした。

さいたま新都心の駅は混みそうだったので、北与野駅へと歩いて、埼京線に乗った。