アイ・ハヴ・ア・ドリーム (IMAホール)


ミュージカル座創立20周年記念公演

ミュージカル「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」

脚本・作詞:ハマナカトオル
作曲・編曲・音楽監督:山口秀也(※「秀」は王偏)
演出:中本吉成
振付:石岡貢二郎


光が丘のIMAホールで、3月14日(土)の昼公演を見た。12時30分開演。

ダブルキャストは、月組のステージ。

上演時間は、約2時間45分(途中休憩15分を含む)。この回のじっさいの終演は、午後3時24分ぐらい。

公演プログラムは、1000円。


この「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」というミュージカルは、ミュージカル座のレパートリーとして再演を重ねているが、そもそもは、舞台芸術学院の卒業公演のために書かれた作品で、卒業公演としても何度も上演されているとのこと。専門学校のミュージカル科の卒業公演演目として生まれたことが、この作品が若者たちの群像劇としてつくられている理由のひとつなのだろうし、女性の登場人物が多い理由もそこにあるのだろう。

1950年代に、アラバマ州モンゴメリーでじっさいに起きた、黒人たちによるバスボイコット事件をミュージカルにしたもの。キング牧師の導きや言葉が大きな意味を持つのだが、キング牧師は舞台には登場しない。事実をもとにしたフィクションとして、差別の痛みや貧しさに苦しむ無名の若者たちが権利を勝ち取るために立ち上がるドラマとして集約されている。

いまや黒人が大統領になっている合衆国で、半世紀ちょっと前には、まだこれほどにひどい人種差別があったことにおどろかされる。(あるいは、いまでもなくなったとはいえない現実があるのかも知れないが)

非暴力で戦おうとするヒロインを中心とする女工たちと、力で報復しようとする不良グループ「キッズ」の対立やそれぞれの葛藤、事件の引き金になるバス会社経営者の白人の息子と、黒人の血を引く娘との人種を超えた恋の行方、白人至上主義グループとの抗争で命を落とす「キッズ」のリーダー、差別を乗り越えるべく黒人が排除されていた大学への進学を決意するヒロインの弟などなど、・・・作劇としては、「ウエストサイド物語」を下敷きにしていることは、すぐに分かるので、はじめて見ると、ドラマの枠組みや人物チャートを比較するかたちで、人物配置の異同や構成的な組み換え等を読み解きながら見るという楽しみもあるはずだ。


清水詩音ちゃんが演じた「ベイビーラヴ」も、その役名からして、「ウエストサイド物語」の登場人物を連想させるが、女の子なので、ベイビー・ジョンよりはエニイボティズだろうか…

ベイビーラヴは、孤児なのですって。髪にウェーブがかかっていた。幕開きから、群舞などキッズのメンバーが登場するシーンのほとんどに出番があって、清水詩音ちゃんは、キレのあるダンスを披露していた。

ダンスといえば、「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」では群舞が多用されていたが、そこでの、黒人の若者たちの行進シーンは印象的だった。(「レ・ミゼラブル」を彷彿とさせるところもある)