「ズボン船長 FIFI AND THE SEVEN SEAS」(新国立劇場 中劇場)


1月23日(金)は、新国立劇場中劇場で

アークス・シアターカンパニー「ズボン船長」

を観劇。

14時開演のステージ。

子役の出演者や、上演時間については、→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20150124/p1

公演パンフレット、1200円。早めに入場したのに、販売が1か所だったせいか、すでに列が出来ていて、なかなか買えなかった。

開演前に、ロビーの贈り花をながめていたら、大阪公演のフリードリッヒ×2+クルト×1 → 木村ひかるさんへのお花があったりした。

(お花といえば、やたらとロビー花が目立っていた今吉めぐみというひとは、アイドルグループにいたからなのか?)


セットは、予告動画にあったものと同じで、下手にケンの部屋、上手がズボン船長の家、高さのある中央部が船の操舵室(あるいは甲板?)になっているようだ。といっても、シーンによって、適宜に使用される。そのセットは固定されていて、劇中にセットが換わったり移動したりはしない。セットの手前が、いわばアクティングスペースで、ズボン船長さんが経験した若き日の体験談や、ケンが通う学校のシーンが演じられる。

場面転換は、ホリゾントとセットの客席側面に映し出される映像が主に担っているが、なかなかに効果的な映像が各シーンを創り出していた。最近の舞台公演で使われる映像って、すごいね。
その映像を手掛けている吉光清隆氏は、関西では有名な映像作家のようですね。
http://www.reco.tv/http___reco.tv/ky.html
http://tatsujin.osoto.jp/yoshimitsu-kiyotaka.html


このミュージカルは、原作にのっとっていながら、原作よりもはるかに面白い。劇化に当たっての原作のアレンジの仕方が上手いし、原作とはエピソードの並べ方を変えているのも、舞台が二幕構成であることとよく合致していると思った。

原作を読んだときには、ズボン船長の話がオムニバス的で、小説全体としては淡々と進んで行くという感想を抱いたが、この舞台には原作に不足している連続性が感じられ、また、音楽やダンスというミュージカルの利点を活かしての立体感に気持ちが揺さぶられる。

舞台でのケン少年は、話の聞き手という位置にとどまらずに、限定的ではあっても、劇中のエピソードのなかへ入って行き、目撃者としてストーリーに参加することで、ひとりの男の子がズボン船長さんの語る話を疑似体験するかたちになっている。これが、おもしろさのポイントの第一だろう。

たとえば、ジョジョがメインになるお話では、いかにもミュージカルらしいダンスシーンによる躍動があって、そのために、エピソードの結末の哀感との対比が濃く感じられたし(木村ひかるさんは、この役のためか、髪形からボーイッシュなイメージをつくっていた)、二幕のネネンの登場する場面はステージでの色遣いも印象的で、上手く視覚化してあると思った。


ケンとクラスメイトの峯音のエピソードは原作にないものだが、終幕のふたりのシーンは、ファンタスティックな未来への扉が拓けるようで、とてもいい。峯音をネネンとのふた役にしていることで、ヒロインらしい存在感にもつなげている。
所見のステージの峯音/ネネン役は、高橋里奈ちゃんという子の出演だったが、かわいくて華のある子で、ケンが惹かれることに説得力があった。

公演の公式サイトでは、子役のメインキャストとしては、ケン、峯音/ネネンジョジョ、フィフィしか配役や出演予定が出ていなかったが、パンフレットでは、犬のオシッポの子役も役付きになっていた。
所見の回のオシッポは、女の子が出演していたので、あれが、大久保妃織ちゃんですね(「シロナガスクジラに捧げるバレエ」の)。このオシッポは、ワン、としかいわないけれど、扮装もかわいいし、けっこうおいしい役どころだ。

黒猫のフィフィはパペットだが、第二幕では子役に替わるシーンがあって、この子役はときどき声の出演もある。フィフィという役は、パペット+それを動かす人形遣い+子役の、いわば、3人でひと役になっている。

この他にも子役にいくつか役らしい役があったが、それはアンサンブルというくくりなのでしょう。学校のシーンの子どもたちは、制服の衣裳だった。学校でのダンスシーンは、振付がかわいい。ケンは、終盤の学校シーンには制服で出て来たが、最初の学校シーンでは制服を着ていなかった。これは、場割の制約でそうなっていたのか?(1回しか見ないと、このあたりの疑問が消化出来ないな)