第20回稚魚の会・歌舞伎会合同公演「菅原伝授手習鑑」(国立劇場小劇場)


国立劇場歌舞伎俳優研修修了生・既成者研修発表会
第20回稚魚の会・歌舞伎会合同公演

「菅原伝授手習鑑」
 〜吉田社頭車引の場、佐太村賀の祝の場、芹生の里寺子屋の場〜


国立劇場小劇場で、8月17日(日)に観劇。

筋書は、500円。

稚魚の会・歌舞伎会合同公演を私は今回はじめて見たが、今年はその20回の節目公演ということで、演目も「菅原」の半通し。「車引」「賀の祝」「寺子屋」の三幕で、幕ごとに替わる配役での上演。

12時開演で、上演時間は、「車引」30分、幕間30分、「賀の祝」1時間25分、幕間25分、「寺子屋」1時間45分。

寺子屋」は寺入りからで、涎くりが罰として机の上に立たされているのを千代がとりなしたり、涎くりと下男の三助が戸浪、小太郎、千代になってのいわゆる「鸚鵡」も見られて、おもしろかった。

出演の子役は7人で、菅秀才(廣田礼王恩)、小太郎(井上福悠)の他は、寺子は5人の少ないバージョン。筋書に、子役の写真はなし。配役は載っているが、寺子の5人(泉光、板橋ひとみ、川岸釈天、佐藤香実、牧純矢)は役名が付されてなくて、筋書での5人の名前の並びは50音順のようだった。この顔ぶれだと、牧純矢くんて子が長太だったかな。


小劇場での公演だったが、終演後には、ちゃんと帰りの劇場バスが待っていた。


ところで。「車引」「賀の祝」「寺子屋」の半通しについては、とても有益な解説書があって、それは、2011年12月に刊行された、

横道萬里雄「日本の楽劇」(岩波書店、15000円+税)
https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/5/0242860.html

という本。

著者は、とても著名な研究者。

この本の第一部が「歌舞伎」で、歌舞伎という演劇がどういう仕組み、構造になっているのかを、主な演目を取り上げて、『上演の実態に即して』その「演出」面の解説をしたもので、本のなかの最初の約40ページが、ちょうど「車引」「賀の祝」「寺子屋」の演出についての解説になっている。

学術書なので値段は安くはありませんが、私は他にこういう解説書は読んだことがないので、「観客」として大変に有用な一冊です。