猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷


小路幸也「猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷」(610円+税、徳間文庫)

http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198938208


先月の徳間文庫の新刊で、親本は2011年6月に刊行されている。

1か月ぐらい前に、他の本を買うついでに手に取った。カバー写真の猫がかわいかったので。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4198938202/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=465392&s=books
要するに、ジャケ買いしたのであるが、なかなか読まずにいた。だって、妻が猫になる話なんて、ちょっと莫迦々々しい気がするでしょ。

でも、ようやく読んでみたら、これは、なかなかの傑作!

おそらく時代は戦前で、主人公は、黄泉の国と通じる郷の出身で災禍を祓う役目を担った家の血を引いている。その妻君が猫に変身して人間では出来ない手助けをするのだけれど、途中からは居候の子猫も登場して、その子猫が女の子になっちゃう。『白いブラウスを着て紺色のプリーツのスカートを穿いた、年の頃なら十かそこらの賢そうな瞳の女の子。 肌は抜けるように白い。』という多美ちゃんになる。

シンプルだが奥行きのある文章もすばらしいし、2匹の猫はもちろん、登場人物が魅力的。純和風でモノクロームな味わいのファンタジー