通し狂言 天竺徳兵衛新噺(明治座)


明治座 十一月花形歌舞伎

12日に、夜の部を観劇。夜の部は、三代猿之助四十八撰の内「通し狂言 天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)」〜市川猿之助宙乗り相勤め申し候〜


午後4時30分開演で、途中、30分と25分の幕間があって、8時10分終演。とタイムテーブルにはあったが、所見の回の終演時刻は、さらに数分早まっていた。夜の部は、普段の明治座公演(30分休憩が2回あって、トータル4時間ぐらい)よりも、短い上演時間といえる。

明治座だから、宙乗りのときに天井の一部が降りて来る、可動式の鳥屋が見られると思ってチケットを買っていたのに、客席(2階右側の舞台寄り)に入って上を見たら、天井のその部分はすでに下に降ろした状態で、3階席の客席の上に、宙乗り用の鳥屋があらかじめ作られていた。これでは、座席をつぶさないだけで、いつもの歌舞伎上演劇場に仮設される鳥屋と変わらなくて、期待していたものとはちがっていた。

さて、ほとんど予備知識なしで見た「天竺徳兵衛新噺」。終盤の宙乗りが、猿之助の徳兵衛の葛籠抜けであり、その前には、「絶景かな、絶景かな」から、笑也の枝折姫とのひとくさりのあと装置が迫り上がり、猿之助と柄杓を手にした市川右近が天地で極まるのは「山門」と、石川五右衛門のパロディみたいな展開なのだねぇ。徳兵衛の出自にしても、五右衛門の設定と相似形だし。

天竺徳兵衛が蝦蟇の妖術を使うのは、大いにおもしろくて、なかでも、蝦蟇の立ち回りに、妙なる愛嬌があってかわゆい。徳兵衛が変身したその蝦蟇、吹き替えだろうと思って見ていたら、なかから本物が出て来たり。
小平次と、その女房・おとわを早替りで演じ分ける趣向が楽しめた。


観劇日は、2回目の幕間中に、市川段四郎休演のアナウンスがあった。筋書(1500円)を買わなかったので分からないのだが、その菊地大膳太夫貞行というのはどこに登場する役だったのだろう。

(ところで、CMに出演中だといって、序幕で、天竺徳兵衛が宣伝していたソルマックって、効くかな?)