第8回伝統歌舞伎保存会研修発表会(国立劇場大劇場)


1月21日(土)は、国立劇場大劇場で、

(社)伝統歌舞伎保存会主催「第8回研修発表会」

を見た。

午後6時開演。終演が、7時47分ぐらい。

内訳は、松本幸四郎による「ごあいさつ」と、続いての「三人吉三巴白浪 本郷火の見櫓の場」で、約30分。幕間が、20分。松本幸四郎による「解説」と、新歌舞伎十八番の内「素襖落」で、60分弱といったところ。


自由席2000円。予想していたよりお客さんは多くて、劇場に着いたら、すでに1階席は混み合っていますとの案内。花道の外側(今月の国立劇場は、両花道である)なら、けっこう空きがあった。2階もかなり埋まっていた。


「ごあいさつ」は、松本幸四郎丈が、傘を差し、雪道を歩くの体で、下手花道からの出。絵になるごあいさつである。

勉強会で「本郷火の見櫓の場」を演るのは、過去にはないことだろう、と。花道〜本舞台(幕前)〜上手へと移動しながらのお話で、仮設花道の七三であいさつを締めると、そのまま上手の花道を引っ込んだ。


「本郷火の見櫓の場」は、今月の歌舞伎公演「通し狂言 三人吉三巴白浪」の大詰。

和尚吉三:松本錦弥、お嬢吉三:中村芝のぶ、お坊吉三:松本錦一

八百屋久兵衛:澤村紀世助
捕手:松本錦二郎 松本高弥 中村福太郎 中村福緒 澤村伊助 片岡松太朗
(後見:中村翫蔵)

本郷火の見櫓の場を見るのははじめてだったので、下手花道からお坊、上手花道からお嬢と、両花道を使ってのふたりの出や、火の見櫓をせり下げて、お坊吉三の屋根上での立ち回りを見せ、火の見櫓が再びせり上がって来るところに、お坊が跳び下りて木戸を越える演出が、面白い。
芝のぶ丈のお嬢吉三が、格好よかった。

場の最初に、木戸番で松本錦吾、町人で市川染五郎中村福助大谷友右衛門が出演。


「素襖落」の前に、松本幸四郎丈がふたたび登場しての、解説。今度は、すっぽんからの出、下手の幕前へ。

「素襖落」で太郎冠者の持つ扇には、こうもりの絵が描かれているが、この扇の絵は、太郎冠者の役者が自分で描くのだと。今回も太郎冠者役の染五郎丈が描いている。幸四郎丈も自分が描いたという扇をかざして見せていたが・・・遠目に見た感じでは、父の高麗屋のほうが上手いと思ったが、さて、どうか。

こうもりというのは、子を守りで、子を守ることから縁起がいいとされている。(なるほど、「勧進帳」で富樫の太刀持音若の背中がこうもりなのも、そういうことなのか)

退場は、またすっぽんのせりで、下りて行った。


「素襖落」は、

太郎冠者:市川染五郎、大名某:大谷友右衛門、姫御寮:市川高麗蔵

鈍太郎:大谷廣太郎、次郎冠者:中村児太郎、三郎吾:大谷廣松

(後見:松本幸雀 澤村伊世助 中村京三郎、お幕:松本錦二郎 松本高弥)

明石屋の御曹司は、兄弟ともに、雰囲気というか、役者らしい味があるね。男振りは、兄が一枚上。