音楽劇「ガラスの仮面〜二人のヘレン〜」(彩の国さいたま芸術劇場 大ホール)


8月27日(金)は、彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで、

彩の国ファミリーシアター
音楽劇「ガラスの仮面〜二人のヘレン〜」
(原作:美内すずえ、脚本:青木豪、演出:蜷川幸雄、音楽:寺嶋民哉)

を観劇。

彩の国さいたま芸術劇場公演の千穐楽。午後1時開演。


8月も終わりに近づきながらもなお変わらぬ猛暑のなかを、予定通りに、自転車で劇場まで往復。往きは、途中に、郵便局とコンビニエンスストアに寄り道して、約55分の道のり。…暑い、あつい。

さいたま芸術劇場1階の椅子に座って、おにぎりを食べたりお茶を飲んでいるうちに、だんだんと汗もひいて、人心地がついた。

10月31日(音楽ホール)の庄司紗矢香ちゃんのチラシを探すが、ない。もうチケットは売り切れているので、余分にチラシは出さないのだろうか?「埼玉アーツシアター通信」NO.28を手に取ったら、見開きカラーで、庄司紗矢香インタビューが載っていたので、お!っと、これを2部入手。



さらに置いてあるチラシ類をあれこれと物色。

劇団文化座「大つごもり」
(原作:樋口一葉、脚色:久保田万太郎、演出:原田一樹)
10月7日(木)〜17(日)、文化座アトリエ

この公演に男の子の子役(大野拓)の出演あり。
ただし、個人的にあまり関心が持てないので、この件の別エントリーは立てない。



田上パルが、2011年1月22日(土)〜28日(金)に、キラリ☆ふじみマルチホールで上演する新作2本の出演者を公募している。
その要項・申し込み用紙があった。年齢・性別不問。ただし、演技経験のある方。9/24締切。
http://www.city.fujimi.saitama.jp/30shisetsu/99kirari/02infomation/2010-0524-1439-137.html

今年、キラリ☆ふじみで「師走やぶれかぶれ」「新春やぶれかぶれ」の2本立てがあったので、いわば、同ホールでの第二弾といったところか。


さて、音楽劇「ガラスの仮面〜二人のヘレン〜」

上演時間は、一幕 1時間15分、休憩 15分、二幕 1時間15分。

公演プログラムは、1000円。…買わなかった。

一昨年の「ガラスの仮面」では、入場の際に、チラシ類といっしょに配役表が配付されたと記憶しているが、
 (→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080813/p3)
今回は、なかったので、チラシに役名まで載っているメインキャストだけ引いておくと、


大和田美帆(北島マヤ) 奥村佳恵(姫川亜弓) 細田よしひこ(桜小路優) 新納慎也(速水真澄) 原康義(小野寺) 月川悠貴(青木麗) 岡田正(源造) 黒木マリナ(二ノ宮恵子) 立石凉子(北島春) 香寿たつき(姫川歌子)  夏木マリ(月影千草)


1階客席は、B列が最前列。中央ブロックのF列とI列の一部座席は劇中に俳優が使用するため、空けてある。C列とD列の隙間や、最前列と舞台の間も含め、客席通路の使用は頻繁に行なわれる。さながら両花道のようである。

開演前の舞台は、奥舞台まで観客の視線に開放され、バックステージツアー(応募して選ばれたお客さんを舞台上へ案内する今公演でのサービス)がはじまる頃には、出演者が三々五々、客席を通って舞台へ上がり、挨拶や言葉を交わしたりしながら、ウォーミングアップがはじまり、それがやがてダンスになり、そして開演すると、ほんのさっきまで、ダンスをしていた役者たちが、衣裳を着けて劇中の人物として舞台に、あるいは客席の通路から現れる。2008年公演と同じ趣向である。

開演中に、左右のソデまで観客に見せる。これは、ソデでスタッフが作業をする様子や機材をわざと見せているようだ。

舞台の奥行きをこれでもかとばかりに使って見せる場面は、前回公演同様に、私にはとくに印象深かった。客席通路も含めると、役者が演技する縦の空間がとっても長いのだ。


二作目(続編)の今回も、さまざまな演出、手法が、あの手この手と繰り出されて劇中劇との相乗効果を生み出し、それだけでも充分に、この「ガラスの仮面〜二人のヘレン〜」の劇空間に酔わされる。ひとつひとつの演出は、蜷川演出の舞台をいくつか見ていれば別段新鮮ではないのだが、てんこもりの大サービスといった感じだから、たまにある野暮ったいシーンや、いわゆるクサイ芝居までもが、それらも含めて演劇そのものなのだと思わされる。

プロセニアム外の左右で、電光の字幕を使って、劇中劇のタイトルやあらすじを出していたのも、面白い。簡単な解説を文字にすることで観客の知識を補うとともに、不要な客は読まなければいいという配慮でもあり、舞台のテンポを損なわない上手い方法。あるいは、ファミリーシアターという性質上、来日公演や日本語以外での上演のときには、こんなふうに字幕や解説を出すこともあるというのを見せる意味あいもあるか。

2008年の「ガラスの仮面」では、大量に舞台に降る本水の雨の迫力に圧倒されたが、今回の続編では、はじめと終わりに松明が使われ、本火の松明を手にした役者たちが客席通路に登場する。一昨年が「水」なら、今年は「火」という訳だ。

そして、北島マヤ(大和田美帆)と姫川亜弓(奥村佳恵)によるフライングが、ラストを派手に飾る。


前半(一幕)は、北島マヤより姫川亜弓が演じる劇中劇のほうに見どころがあった。「王子とこじき」や「テンペスト」では、奥村佳恵が演じているとは分からないほどの変わり映えに、精彩がある。逆に、後半(二幕)になると、「奇跡の人」のヘレン・ケラーの競演となるが、ここでは、大和田美帆のヘレンが魅せる。「ウォーター」のシーンの少し手前からのクライマックス、つまり「さわり」だけを演ったにもかかわらず、劇中劇にとどまらない面白さがあった。蜷川演出で「奇跡の人」を見てみたいと思った観客は、私に限るまい。
劇中劇として蜷川演出の俎上に載った「奇跡の人」は、戯曲全体のうちのほんの一部にしか過ぎないのに、とても刺激的だった。ただし、ヘレンの母親(ケイト)は老け過ぎ。


今回も、カーテンコールで最後に登場するのは、月影千草(夏木マリ)。

さいたま芸術劇場公演の千秋楽とあって、カーテンコールは何度も繰り返され、途中、演出家も登場したり、花火(?)のシャワーがあったりしたが、キャストからの挨拶などは、なし。最近は、千秋楽ともなると、カーテンコールで出演者が挨拶などあれこれとしゃべる公演が少なからずで、それはそれで観客の楽しみにはちがいないが、あえて無駄口はきかないというのも、いいものである。

終演は、午後4時を1分ぐらい過ぎていたか…。


劇場の外に出ると、ちょうど上演中に雨が降ったらしく、自転車のサドルが濡れていて、道路にも雨の跡が。

にわか雨とはすれちがいになったのを幸い、帰り道は、ならゆりあジブリだいすき」というCDを買おうと、5件のCDショップに寄り道したが、そのどこにも置いてなかった。ポニーキャニオンは、いったいどこに向けて出荷したのか?と思いたくなる。同じ日(8/25)に発売の、bump.y(バンピー)のCDだったらたくさん店頭に並んでいた。
結局、ネットショップで買うことにした、というのは後日の話。

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2008年公演の雑感(音楽劇「ガラスの仮面」を見に行きました)
http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080813/p3