四月大歌舞伎 夜の部


4月4日(金)に、歌舞伎座で、四月大歌舞伎 夜の部を見物。


この日の昼は、パルコ劇場で観劇、その後、夜の公演は何を見ようかと前日まで迷っていた。

 1.歌舞伎座 夜の部(ただし、時間の都合で「将軍江戸を去る」には間に合わない)
 2.ミュージカル「SEMPO -日本のシンドラー 杉原千畝物語-」
 3.空気のダンス
 4.「カラミティ・ジェーン」
 5.夜想会「三人姉妹」

以上が候補で、2〜4は、4日が初日のステージ。また、当方のスケジュールからして、3〜5は、この日に見なければ、観劇機会はないだろうと思われた。

1は、チケットが取れたらという条件での第一候補だったのだが、前日の夕方に3階の1列目が入手出来たので、迷っていた割りには、あっさりこれに決まった次第。


四月大歌舞伎に出演の子役は、すでに書いた(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080405/p4)通り。これだけの人数、子役を揃えるだけでも大変そうに思える。


さて、夜の部は、

真山青果作「将軍江戸を去る」
歌舞伎十八番の内「勧進帳
井上ひさし作「手鎖心中」より「浮かれ心中」(小幡欣治脚本・演出、本間忠良演出)

の3演目が並んだ。

4月の歌舞伎座は、片岡仁左衛門坂東玉三郎中村勘三郎の人気役者3人の競演が話題だ。

朝日新聞夕刊は、ちょうど私が観劇した4日に劇評が載り、それによると、初日の仁左衛門は風邪で熱があり舞台で咳をこらえていたという。読んだのは観劇後だったが、4日の弁慶は、客席から見た限り、不調な様子は感じなかった。

勧進帳は、その仁左衛門の弁慶がよかった。何より、その声。座席が3階で、花道がほとんど見えないだけに、弁慶の重みのある抑えた声がとりわけ印象的で、その声だけで弁慶という役をイメージさせた。歌舞伎役者の声には、たまに、ハッとさせられることがあるが、今回の弁慶の声も然りであった。なるほど、この役者は弁慶を演るときはこういう声を遣うのかと、歌舞伎俳優の芸を感じた。


今月の歌舞伎座、いちばんの楽しみだった、中村鶴松の太刀持音若

座しているときの手の先までが端正でよかったが、その鶴松さんの衣裳のこうもりが、羽根の生えた「ねずみ」っぽい絵になっていた。
これは、後の芝居の「浮かれ心中」の内容に掛けたものか。「浮かれ心中」のなかで、ねずみの顔したこうもりがどうの…というセリフがあったけど。


「浮かれ心中」〜中村勘三郎ちゅう乗り相勤め申し候〜は、ストーリーの一部が「籠釣瓶花街酔醒」のパロディになっているのが、面白い。花魁道中が出て、子役の茶屋廻りや禿もいて、帚木おいらんの「こども、来ぃや」で双禿が「あーい、あーい」と返事して首を傾げるのも、ある。(この日は、煙草盆を持っていたのが浅野加寿希ちゃんだったかな)

近所の子供5人は、出番が2回。二度目に「さくら」として出たときは、ちゃんとしたセリフのある子もいるのだが、客席側を向いて演じることがほとんどなく、後ろ姿や横顔しか見えないのが、難。
黒川樹くんは、この子供役でも、上手。女の子の大きいほうは、(下田澪夏ちゃんではなかったから)宇都宮嘉那ちゃんだ。


「ちゅう乗り」では、ねずみの上で暴れたり、手ぬぐい、カラーの紙吹雪、蜘蛛の糸など、上からいろいろと撒いてサービスを振りまく、最後は、3階席下手側の仮設鳥屋へ入るから、3階席前方からの見物だと宙乗りがたっぷり楽しめる。


今月は、仲二朗改め中村小三郎名題昇進披露。この方、昨年の新橋演舞場文七元結」で家主を演っていて、名題下の役者がする役ではないなぁ、と思っていた。そのときすでに昇進を前提にしての配役だったのでしょう。


舞台写真が出た頃に、夜の部を再見したいものである。