IMAバレエフェスティバル「くるみ割り人形」(全2幕) 雑感


光が丘IMAホールで、

IMAバレエフェスティバル「くるみ割り人形(構成・振付:松崎すみ子)を見た。

過去ログのこの(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20071209/p1)公演である。


2008年3月8日(土)午後6時開演
2008年3月9日(日)午後1時開演/午後4時開演

以上の3ステージを3回とも楽しんだ。


主な配役は、以下のようであった。

金平糖の精:奥田花純
王子:黄凱

ドロッセルマイヤー:小原孝
クラウン:小出顕太郎
コロンビーヌ:松崎えみ(8日)・金子優(9日)

雪の女王:高岡優貴
雪の王:長谷川秀介

ねずみの王様:金甫燕(8日は休演)
ワルツソリスト:大長亜希子

クララ:山田夏生(8日、9日4時)・河田真澄(9日1時)
フリッツ:斎藤万里子(8日、9日4時)・廣川理久(9日1時)


昨年(2007年3月)のIMAバレエフェスティバル「くるみ割り人形」(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20070307/p1)も3ステージ見ているのだが、今年は、昨年に較べると出演者が少な目だった。といっても、IMAホールのキャパシティからすればちょうどいいぐらいのカンパニーなのかも知れないが。

上演時間は、15分の休憩を含んで2時間弱。

プログラムは、入場の際に無料配布。

基本的には昨年の同フェスティバル「くるみ割り人形」と同じ。序曲に乗せてのアナウンス ナレーションではじまり、ドロッセルマイヤーが狂言回しとして舞台の進行役を務めるというつくりだが、昨年とは踊り手や振付がちがっていたり、演出のマイナーチェンジがあったりと、随所に新鮮さはあった。


ダブルキャストのクララが、好対照。2ステージ出演した山田夏生さんは、子役にしては長身で手足が長く、きれいなクララで華があり、もうひとりの河田真澄さんは、子どもらしくキュートな造形のクララ。ともに演技がしっかりしていて、ストーリーの芯になる子役らしさがあった。

第1幕のクリスマスパーティでは、子どもたちの踊る場面も多く、クララをはじめ女の子役の子たちはポアントで踊る。クララがドロッセルマイヤーおじさんに、くるみ割り人形をもっと大きくして、とお願いしてみたり、兄のフリッツがねずみのおもちゃを走らせて脅かしたりと、その後の展開へとつながる伏線めいたシーンがさりげなく織り込まれているのも、昨年の公演同様の面白さである。


演出面での目立った変更といえば、幕前でのくるみ割り人形から王子への変身。昨年はドロッセルマイヤーが盾になっていったんカーテンの後ろに入り、衣裳等を脱いで王子になって登場、という流れだったが、今年は、幕前で照明を点滅させながら、クラウンとコロンビーヌがくるみ割り人形の衣裳を脱がせて、王子に変わる。黄凱さんが王子だけでなくくるみ割り人形もやっていたことを客席にはっきりと見せる趣向だが、フラッシュのような照明の点滅は、短時間とはいえ、目に刺激が強く、身体によくない気がした。(じっさい、休憩中には、周囲からも目が痛くなったなどの声が聴こえていた)


第2幕は、2曲目のナンバー(Clara and Prince Charming)をほとんどカットしていて、最初の曲で、お菓子の国のキャラクターたちの勢揃いと金平糖の精の登場、クララ・王子・ドロッセルマイヤー・クラウン・コロンビーヌの一行の到着、歓迎までを見せる。そのあとは、上手の椅子に腰かけたクララの前で、ドロッセルマイヤーの仕切りで、各国の踊りが披露されて行く。昨年の舞台よりも、ドロッセルマイヤーが踊りに加わるシーンが増えていると思ったが、どうだったろう。

「キャンディケーキ」は、ワゴンのなかから子どもたちが出て来るのは、昨年の舞台と同様だが、振付が大幅に変更されていた。子どもたちのなかにクララが入っていっしょに踊る場面も昨年とはちがう振りで、その工夫が楽しかった。
なお、キャンディケーキの女の子(12人)たちは、第1幕は、ねずみと戦う兵隊や、クララやフリッツの友人として出演している。


クラウンとコロンビーヌのコンビが、クララを介添えして盛り立て、達者で秀逸な演技。「キャンディケーキ」と「花のワルツ」の間に、クラウンとコロンビーヌの踊りが1曲入るが、昨年と同じ曲だったかについては、すでに記憶が定かならず、不詳。

金平糖の精と王子のグランパ・ド・ドゥは、昨年と同じペアでもあり、安定感があった。コーダはとくに印象的。

この松崎すみ子版「くるみ割り人形」は、踊りのなかに、男性ダンサーが女性ダンサーを高く持ち上げる動きが多用され、金平糖の精と王子、雪の女王と雪の王のパ・ド・ドゥでのリフトはもちろんだが、クララとドロッセルマイヤーにおいてもそうで、たとえばクララがドロッセルマイヤーの肩に乗るというのは、何度も繰り返し見られたシーンである。


終幕のワルツでお菓子の国に別れを告げると、幕前になり、クララはドロッセルマイヤーの魔法で眠りのなかへと戻り、そして、もとの椅子の上で目醒めると、自分を夢の世界へ誘ってくれたくるみ割り人形を抱いての幕となる。




なお、会場で配布されたアンケートによれば、IMAバレエフェスティバルは、2009年も開催予定で、日程は、2月28日、3月1日。ただし、現時点では、「くるみ割り人形」になるかその他の演目になるかは、未定のようである。