幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門 (劇団夜想会)



3月31日(金)に、紀伊國屋サザンシアターで、劇団夜想会の「幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門」(清水邦夫作、野伏翔演出)を観劇。



上演時間は、休憩を含めて、約2時間35分。



プログラムが、500円。

そのプログラムに「劇団夜想会」とあるのを見て、あれ?と思ったら、夜想会は、2004年から劇団になり、「劇団夜想会」となった模様。





子供役の中尾有紀ちゃんという女の子が、かわいい!

歩き巫女といっしょに登場、二幕でセリフもある。プログラムの紹介によると、『12歳。野伏翔のレッスンを受けるため、毎週仙台から通っている。』って。

夜想会も、すごい手駒を持っているじゃないか。こんな子がいるのなら、早いとこ、また「奇跡の人」を上演して欲しいもの。





1970年代の青春とか、当時の社会背景がどうのといったことは、私には実感のないものだから、ただ、手の込んだ面白い芝居だな、と思って見た。



将門の狂気(頭を負傷して正気を失い、自分を将門ではなく、将門を追討する武将だと思い込んでしまっている)が、じつは装ったものなのではないか、という疑問を最後まで拭えなかった。途中、正気に戻る時間も、短か過ぎて。



あるいは、こんなふうにも思う。将門が自分を将門追討の武将と思い込んで将門を追い求める、という行為は、決して向き合えない自分を追い求めていることである。そして、最初に舞台に登場したときから将門は、すでに自分が将門であることを否定している。はたして、この舞台上の世界に、将門本人は実在しているのだろうか、と。皆がみな、将門がいると思い込んでいる(いたい)だけなのでは?…そんな気分にとらわれる。

全体にどこかウソっぽく(空虚で)、滑稽だ。



女性ふたりによる太鼓の演奏が、印象的。きっと、この太鼓の響きだけが、真実なのだ。







 少し加筆しました(4/4夜)。