南十字星 1/14昼・夜



鈴木優美嬢の出演予定の「読み」は、年末からずっとあたっているので、そのままためらわずに、1月14日(土)の、ミュージカル「南十字星」のチケットも前日予約することにした。



のはいいが、四季劇場[秋]の1階6列(オケピットが入って、実質4列目)は前のお客さんの頭が被って見づらい。7列のほうが舞台が見やすいからと、いつぞやは、7列が出ないかなぁ…と、しつこくやっていたら、いきなり15列まで飛んじゃったことがあった(団体が入っていたせいかも)ので、今回は素直に取る。同じ四季劇場の実質4列目でも、[春]の1階F列のほうがよく見えるのは、客席から見て、[秋]よりも[春]の舞台が少し高いからだと思う。



さて、14日。

いつものように、劇場へ向かう途中に、確定キャストインフォメーションを聴く。「…いがらしあいこ、すぎたまほ、すずきひろみ、…」重畳!

2回公演の日の子どもたちは、昼・夜同じ配役になるから、この日に鈴木優美ちゃんを2回見ると、出演した14回のうち10回、内訳はアミナとミンチェを5回ずつとなるから、観劇成績としてはまずまずだ。

南十字星」という作品そのものにもどっぷりひたった楽しい1か月もいよいよ終焉が近づき、鈴木優美ちゃんも見納め。



杉田真帆ちゃんのティエンは、ひとり年下の子が交ざって見えて、新鮮。五十嵐愛子ちゃんのアミナか、鈴木優美ちゃんのミンチェか、どっちかの妹みたいだった。

鈴木優美ちゃんとお手々をつないだ姿が、かわいい。



子どもたちの3人のうち、アミナとミンチェは丈の長いズボンみたいな衣裳なのに、ティエンはひざ下までのキュロットっぽいのをはいているけど、あの衣裳のちがいは何なのだろう。

はじめは、「アジアの大地」のシーンで、稲刈りするふたり(アミナ、ミンチェ)がズボンなのかなと思ったが、単にファッションのちがいかな?「新しき学び舎」では、アミナとミンチェがおうたをうたっているとき、ティエンは学校を建てるお手伝いをしている。ティエンは働き者なのか?とか、いろいろ謎が多くておもしろい。





第一幕の琵琶湖周航の歌のあとインドネシアに進駐するまでの保科勲の衣裳替えがとても速い気がする。間で幕が下りて、地図を映しながらの岡野教授の語りが入るけれど、それでも、あれは速いと思う。



昼公演では、一幕終了後に、お花を拾った。お花拾いは、出足がポイント(笑)。ちなみに、ふつうに軽い造花である。



休憩中、翌日(15日)の千秋楽の前日予約をしていたら、すぐとなりでも電話をかけているひとがいたので、やっぱり前日予約しているのかと思いきや、東宝テレザーブだったみたい。(「南十字星」のほうが、かわいい女の子が出るのに…)



午後からは、雨がどしゃどしゃ降って、風も強くて、もう大変。でも、昼・夜つづけてカーテンコールまで、鈴木優美ちゃんが見られたので、大満足。

鈴木優美ちゃんは、最高に、かわいかったのである





 ふたつのこころがー、ひとつにむすばれるー



のフレーズが、頭のなかで、リフレインしてやまない。



  



ところで、BC級戦犯に関する本で、いま、いちばん入手しやすく、また廉価で購入出来るのは、次の2冊だろう。

田中宏巳「BC級戦犯」ちくま新書

林博史「BC級戦犯裁判」岩波新書



前者は、ミュージカル「南十字星」を鑑賞する場合の手頃な手引き書といっていい。巻末の「おわりに」にある次の部分が、おおむね著者の姿勢であろう。BC級戦犯裁判は、『「裁判」ではなく、文明の名の下に、よく制禦された勝者の復讐と考えれば、その内容が少々おかしくても我慢ができる。だが裁判の手続がおかしくても、被告をつくり出した事案つまり戦争犯罪といわれる事件の多くは、現実に起こったことであった。日本人からみて犯罪ではない事も、文化の違いによって犯罪になる場合もある。



後者は、「南十字星」の初演が終わったあとに出版された本。岩波新書らしく、この舞台にはまってしまった頭をいったん醒ますには適書。戦犯裁判とその周辺のさまざまなケースが紹介されていて、特定のケースや情緒に流されてこの問題を個別に解釈してはいけないことを教えてくれる。

(B級にあたる)戦犯裁判という考えはすでに第一次大戦後には国際的に認められていて、戦勝国として日本もそれを承認していた(じっさいには、ほとんど機能していなかったが)、という記述は、「南十字星」の劇中で語られることとはいささか異なる。また、オランダによる裁判について書かれた部分は、ページ数は少ないが、インドネシア現地の対日感情が、陸軍が軍政をしいた地域と海軍の軍政下にあった地域では差があったなど、ミュージカルの背景を理解するにも有益だ。



この両著は合わせて読みたい。