十八代目中村勘三郎襲名披露 三月大歌舞伎 夜の部



12日(土)は、歌舞伎座夜の部を観劇。4時半開演。



十八代目中村勘三郎襲名披露とあって、開演前のロビーの賑わい、また売店の混雑は大層なもの。

ただ、満員の客席には、昨年の海老蔵襲名のときに感じた、浮かされた「熱」のようなものはなくて、意外に落ち着いた雰囲気。



売店に、はろうきてぃのプチタオルの歌舞伎十八番ものがあった。暫、助六、矢の根、鏡獅子、など…。今度行ったときに、買おう!キティちゃん、成田屋に弟子入りしたのかな? 前は、汐汲とか、鷺娘とかだったよね、はろうきてぃのプチタオルって。





さて、舞台。

まず、「盛綱陣屋」

2時間近い上演時間だが、それを長く感じさせない面白さ。

劇的な魅力の舞台。



新・勘三郎丈の佐々木盛綱は後半になって、首実検からが、見せる。にせ首を前に腹を切った小四郎(児太郎)を見て、事を察してハラを決めた盛綱の、表情のつくり、というか表情の運びが上手く、演技がクローズアップになるの観。

篝火を呼び出して、女たちに、察した事の真相を語るセリフも、胸に響く。



ふたりの女形、早瀬(魁春)の品位と、篝火(福助)の情の対峙は、役者の持ち味という対照もよく効いていて、ドラマティックだ。



孫に切腹を迫る微妙(芝翫)と、まだ腹は切れない小四郎の応酬も見ごたえがあった。中村児太郎くんのセリフは、声の出方にときどき むらがあるのが気になるものの、この役での姿のよさは格別。きまるところで安定感があって、動きが絵になる。

息を引きとった後の小四郎の顔も端正で、ほどよき儚さを感じさせ、幕切れに余韻を残す。



「保名」

途中から出て来た田中傳左衛門さんに気を取られ、そっちばかり見ていたら、緞帳が下りて終わっちゃった。

筋書きによると、あのひらひらしていた蝶は、番(つがい)なのだ、と。榊の前を失って心乱れる保名が番いの蝶々に誘われて、という図なのだね。



「鰯売恋曳網」

猿源氏(勘三郎)に突き飛ばされた禿が、すごい勢いで転がったのが、この一幕中、もっとも客席が沸いた場面だった。清水大希くんの禿は転がるだけでなく、他のシーンでも微かに感情を見せていて、それが窺えるのが面白い。



最後は、猿源氏と蛍火(玉三郎)を花道に残しての幕外になり、ここで、玉三郎丈から中村勘三郎襲名の披露、それを受けて新・勘三郎丈からひと言挨拶がある。



この日の終演は、8時53分頃。



筋書きは、1500円。 助五郎改め二代目中村源左衛門さんは、襲名と共に、筋書きの写真の扱いもも幹部・御曹司のところに出世している。



清水大希くんといえば、発売中の「かぶき手帖 2005年版」市川段四郎の項の舞台写真に、段四郎丈の八汐に懐剣を突き立てられている千松で写っている。この懐剣をぐりっと突っ込むと、千松が「あーーーー」と苦しがるのだ。